「なぜ信用取引の買い残・売り残は増減する?市場の動きを読み解く鍵」

Brand selection tips(銘柄選定のコツ)

 

リオ
質問者

株の信用取引の買い残・売り残について質問です。楽天証券やSBI証券のスマホアプリで個別銘柄の信用買い残の増加を日々チェックしているのですが、ある銘柄で信用買い残が日々減少しているので、週1回公表される信用買い残が減少しているはずだと思っていたら、逆に増加していたりするのですが、なぜですか?

 

カモネギ投資家
著者

はい、質問にお答えします。

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1. はじめに:信用取引の基礎知識

信用取引は、投資家が証券会社から資金や株式を借り入れて取引を行うことを指します。この手法により、投資家は自己資金だけでなく、借り入れた資金や株式を用いて取引を展開することが可能になります。信用取引は、株式市場において重要な役割を果たし、市場の流動性の向上や、投資家にとっての利益機会の拡大に寄与しています。しかし、レバレッジが働くため、リスクも大きくなることを理解する必要があります。

信用取引とは何か?

具体的には、信用取引には「信用買い」と「信用売り」の二つの形態が存在します。「信用買い」は、将来の株価上昇を見込んで証券会社から株式を借り入れ、購入する取引を指します。一方、「信用売り」は、将来の株価下落を予想して、証券会社に株式を貸してもらい、売却する取引を意味します。どちらのケースも、将来株価の動きが予想通りになれば利益を得ることができますが、逆の動きをした場合には損失が発生します。

買い残と売り残の定義

信用取引では、「買い残」と「売り残」が重要な指標となります。

買い残は、市場における信用買いの未決済のポジションの総量を示し、一般には市場参加者がその銘柄に対して持つ期待感や楽観的な見方を反映しています。

対照的に、売り残は信用売りの未決済のポジションの総量を示し、市場参加者がその銘柄に対して持つ悲観的な見方や否定的な評価を反映していると考えられます。

信用取引の魅力は、投資の機会を拡大することにあります。

 

自己資金以上の取引が可能になるため、小さな資金でも大きな利益を目指すことができます。

しかし、それには大きなリスクも伴います。

特に市場の予測が外れた場合、損失が拡大する可能性があるため、信用取引を行う際には、その仕組みとリスクを十分に理解した上で慎重に取り組む必要があります。

信用取引は、投資家がより多様な戦略を展開するための強力なツールです。

しかし、その利用には高度な市場分析能力とリスク管理能力が求められます。

初心者の方は、信用取引の基本からしっかりと学び、経験を積んでから取り組むことをお勧めします。

また、常に市場の動向を注視し、自己の投資判断を見直す柔軟性を持つことが重要です。

信用取引における損益は、株価の変動に直接連動します。

したがって、市場の動きを正確に予測することが、成功の鍵となります。ただし、予測は常に不確実性を伴うため、投資判断は慎重に行う必要があります。

また、信用取引を行う際には、証券会社が設定する保証金(マージン)の要件に注意を払い、ポジションを適切に管理することが不可欠です。

保証金は、信用取引におけるリスクを管理するための重要な概念です。

市場の価格変動により損失が生じた場合、保証金はその損失をカバーするために使用されます。

投資家が証券会社に預ける保証金の額は、取引する株式の価値に基づいて決定され、市場の状況に応じて変動することがあります。

このため、投資家は常に自己資金の状況を把握し、リスク管理を徹底することが求められます。

信用取引を利用する際のもう一つの考慮事項は、利息です。

投資家は、証券会社から借り入れた資金や株式に対して利息を支払う必要があります。

この利息は、取引のコストとなるため、投資の収益性を計算する際には、このコストを含めて考慮する必要があります。

信用取引は、投資の機会を広げるための有効な手段ですが、高いリスクを伴います。投資家は、信用取引の基本原則をしっかりと理解し、自己のリスク許容度に合った戦略を立てることが重要です。

また、市場の動向に常に注意を払い、柔軟に対応する能力も求められます。信用取引を行う際には、これらの点を念頭に置き、慎重に取り組むことが成功への鍵となります。

 

日証金が公表する信用取引の残高と東証が公表する信用取引の残高の違いは何?

まずは日本証券金融株式会社(以下、日証金)が公表する信用取引の残高と東京証券取引所(以下、東証)が公表する信用取引の残高の違いを理解しましょう。

たとえば楽天証券ではスマホアプリISPEEDで表示されている、市況情報からみることができます。

こちらは東京証券取引所が週一回公表している信用取引の買い残と売り残の情報ですが、前週の各市場の信用取引残高を取りまとめて、翌週に公表しています。

この数字は制度信用や一般信用、各証券会社が貸し出しした残、また大株主からの貸し株情報なども含まれる為、正確に表示されます。

こちらの日本証券金融株式会社(以下、日証金)が公表する信用取引の状況は日々公表されていますが、こちらは日証金を通じて貸し出された制度信用のみ表記されています。

 

つまり日証金が公表している各証券会社の信用取引の状況を見て、信用取引の残高をチェックしていても、正確な信用取引の残高の状況を確認するには、1週間に1度公表される東証をチェックしなければなりません。

 

今回の質問者のケースですと、楽天証券ISPEEDの日証金の融資残(信用買い残)が日々減少していたので、おそらく信用買い残が減少しているはずだと思っていたら、週1回公表される東証の信用買い残が増加していたので、混乱したのでしょうね。

 

ではなぜこの質問者は信用取引の需給を気にするのでしょうか?

ここからは信用取引の残高が株価にどのような影響をもたらすのかを説明します。

実は信用取引の残高は株価の動向に大きく関係してきます。

投資の罠に注意しましょう。

信用取引の残高は、投資家の心理に大きく影響されることがあります。

一般的な考え方は、買い残が増加している場合、投資家の多くがその銘柄に対して買いのポジションを持っていることを示しています。

これは、その銘柄に対する市場の期待感が高まっていることを意味していますが、一方、売り残が増加している場合、投資家の多くがその銘柄に対して売りのポジションを持っていることを示しています。これは、その銘柄に対する市場の期待感が低下していることを意味しています。

また、買い残が減少している場合、投資家の多くがその銘柄に対してポジションを解消していることを示しています。これは、その銘柄に対する市場の期待感が低下していることを示唆することがあります。

 

ですが・・・

これはあくまでも一般的な考え方です。

つまり逆もありえると言うことです。

たとえば信用買い残の増加は、株価上昇に悪影響をもたらすケースがあります。また信用買い残の減少、売り残の増加は株価が反転するきっかけにもなりえます。

しこり銘柄に手を出すな。

株価下落の際の信用買い残が増加するということは、損失を抱えた投資家が売りたくても売れない「しこり」の状態だといえます。

信用取引での買い残は売り圧力になりえます。株価が反転しようとしても、すぐにポジションを解消したい投資家の売り圧力により株価上昇の壁になるケースが出てきます。

損失を抱えた投資家のしこり玉が株価上昇の下げ圧力になるということです。

また信用買い残が増加しているケースでは、大口投資家やヘッジファンドの空売りに狙われるケースもあります。

大口の空売りが入ることで、さらなる株価下落の引き金になる可能性があるので注意が必要です。

つまり投資家の心理は必ずしも市場の動向を正確に反映するわけではありません。

また、信用取引の残高の変動が必ずしも株価の変動と一致するわけでもありません。そのため、投資家は市場の動向だけでなく、自分自身の投資判断やリスク管理にも注意を払う必要があります。

 

最後に

東京証券取引所では、週一回(第二営業日)の16:30を目安に、先週末時点での信用取引の残高を公表しています。

こちらは信用取引の残高すべてを公表していますので、正確に市場全体の状況を把握できますが、週に1度の公表ですのでデイトレードなどの短期取引では速報性に欠けます。

一方で日証金が公表するデータは、日々の信用取引残高を銘柄別に公表しています。毎営業日の夜には更新されるため、短期取引では重要なデータになります。

しかし今回の質問者のケースのように、このデータは日証金が把握しているデータであって、各証券会社が貸株を手当するなどして、日証金に賃借取引を申し込んでいないケースはカウントされないので注意が必要です。

信用取引残高をチェックする際には、短期取引のケースでは日々公表される日証金の残高を確認し、中長期の取引のケースでは東京証券取引所が週一回公表するデータを参考にすると良いでしょう。

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